快晴に恵まれた5月19日の第13回江戸東京文学散歩は「御茶ノ水」でした。
今回は40名を超える多数の参加者で、10数名ずつのグループに分かれ、ガイドさんに案内していただいて歩きました。
まず向かったのは梅の名所の湯島天神。
学問の神様として知られる菅原道真公をお祀りする天神さんは、受験シーズンには多数の受験生が合格祈願に訪れるところとして有名です。
江戸時代に建立された権現造の社殿は、明治18年に改築されましたが、老朽化が進んだために平成7年(1995年)12月に総ヒノキ造りで再建されたものだそうです。
清水坂を下り、蔵前通手前の道を入ったところにある小さなお宮は「妻恋神社」。
「日本武尊が東征のおり、三浦半島から房総へ渡るとき大暴風雨に会い、妃の弟橘姫命が身を海に投げて海神を鎮め、尊の一行を救った。」ことから、縁結びの神様として親しまれていますが、小さな神社ながら神代の時代からの壮大な由来を持つ神社でした。
次にお参りした神田明神は、江戸東京の総鎮守で、一の宮に大黒様、二の宮に恵比寿様、三の宮に平将門公を祀り、縁結び、商売繁盛、厄除けの神様が一同に会し、願い事を何でも聞いてくださる懐の広いお社です。
将門様に祈願すると勝負に勝つと言われ、現代の勝負師たち(ビジネスマン)が初詣に来るところとして有名です。
『銭形平次 捕物控』のなかで、主人公の平次さんは「神田明神下」の長屋に住んでいたそうで、ガイドさんが本殿右手横にある「銭形平次の碑」に案内してくれました。
湯島聖堂は元禄時代、5代将軍徳川綱吉によって建てられた孔子廟で、「日本の学校教育発祥の地」とされ、湯島天神とともに、合格祈願のために多くの受験生が参拝に来る聖地となっています。
杏壇門(きょうだんもん)をくぐり、
大成殿(孔子廟)を望むと、荘厳な空間に身が引き締まる思いがしました。
御茶ノ水駅横にかかる聖橋を渡って向かったランチ会場は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計により1936(昭和11)年に完成し、アール・デコ調のクラシカルな内外装を残した山の上ホテル。
かつて出版社の密集していた神田に近いところから、作家の滞在が多く「文人の宿」として名高いホテルで、おいしいランチをいただきました。
午後はニコライ堂へ。
「ニコライ堂」は日本に正教会の教えをもたらしたロシア人修道司祭(のち大主教)聖ニコライにちなんだ通称で、正式名称は「東京復活大聖堂」という正教会の大聖堂です。
ミハイル・シチュールポフ、およびジョサイア・コンドルの設計により1884(明治17)年から7年の歳月をかけて建てられましたが、関東大震災の後と、1990年代に本格的な修復工事が施されて現在の聖堂の姿になったそうです。
今回は歴史や名前の由来を学んだり、学問、縁結び、商売繁盛、厄除けの神様を巡るなど盛り沢山な散策で、大変有意義な一日になりました。
秋の文学散歩は11月8日(火)に 谷根千(谷中・根津・千駄木)を予定しています。